Darkness world -ある捻くれ者のつぶやき-

成瀬香織です。私の幼少期からの出来事をエッセイ形式で書いていきます。(ちなみにこれは全て私の心理カウンセリングで使われたものです。虐待などの内容を含むため、閲覧にはご注意ください)

なりすましの小学生

これは小学校六年の時に実際にあった話である。

学校関係者や同じ学年の児童になりすましていたずら電話など、よくある時代だったせいか年に数回は必ずそういう迷惑電話がどこの家にも掛かってくるもんだったのだ。我が家も例外ではなかった。

 

晩秋のある日。

この日私はそろばん教室に行っていたので、帰宅するのは18時頃だった。その間に我が家にいたずら電話が来たのだ。

電話を受けたのはうちの母で、普通に受けたようだ。この日の夕方17時頃…

母「はい、成瀬です」

??「あ、あの。僕…成瀬カオリのクラスの山田ヒロユキ(仮名)です」

母「山田くん、ですか?」

小林「成瀬カオリ、生意気なので直してください」

母「え?それはどういう事かな?」

ガチャン!!

母曰くこのような電話だったそうだ。この後母は悩んだ末、学校の担任に相談をすることにして、学校に電話をかけてことの経緯を話した。

 

そして私がそろばん教室から帰宅して、母から

「 カオリ。あんた、山田ヒロユキって子から電話あってね、あんたが生意気だから直してくださいって言ってて…そんで切れちゃったのよ。あんたその子に何かしたの?」

確かに同じクラスに山田ヒロユキという男はいた。だがたいして仲も良くないうえに話もほとんどしないので正直なぜそのようなものに繋がるのかがわからなかった。もちろん喧嘩もしてないし、私が山田に何かしたとかそういうものなど心当たりもない。だから

「ううん、何もしてないけど。確かにうちのクラスの男子だけどそれと言って目立つような子でもないし、私とも殆ど関わりがないんだけど。そもそも話すらしないし」

と母には話しておいた。

 

翌日。

いつもどおりに学校へ行った。

すると担任に呼ばれて前日の電話についていろいろと事情を聞かれた。

もちろんその時間に私はそろばん教室に行っていて家にはいなかったし、電話を受けてもいないから何もわからない。それに同じクラスにいても仲もよいわけじゃないし、たいして話すこともほとんどないから、そんな電話を受けること自体理由がわからないと応えた。

続いて山田も事情を聞かれたようだ。けれど山田もその日は外出をしていて電話などかけていないと言っている。正直わけがわからない。

 

それから2、3日過ぎた頃。

私は学校へ行ったあとに購買に行った。すると同じクラスのいじめっ子男子2名に突然

「おいっ!山田に謝れ!」

と凄まれてしまい、担任や学年主任が出動する騒ぎになった。私は心当たりがないうえに、意味もわからない状態で凄まれて暴力も振るわれたのだ。

そのいじめっ子男子2名はその後校長室に連れて行かれ、一時間目の途中で教室に戻ってきた。校長先生に説教されたそうだ。

校長先生曰く「真犯人がわからない以上、外野が騒ぐのはよくない。犯人を決めつけて成瀬さんを責めて暴力を振るうなんて言語道断!」と言ってくれたそうだ。そして加えて

「そんないじめっ子は、この学校には置いておけません!」とも。

 

その翌月。

学習発表会があった。私らは音楽劇で「泣いた赤鬼」をやった。

それがまさか我が家にいたずら電話をしてきた犯人をあぶり出すことになるとは誰も想像出来なかっただろう…

隣のクラスの小林ヒロシ(仮名)という男が青鬼の役をやったのだ。そして小林扮する青鬼が赤鬼へ手紙を残して立ち去るというシーンにて。

小林扮する青鬼が手紙を朗読するのである。なんと、その声は…母が電話で聞いたあの声だというのだ。もちろん母は学習発表会の後にうちの担任にその旨伝えた。

すると翌週、小林はうちの担任と自身の担任、そして学年主任に呼び出されて我が家へのいたずら電話について追求されていた。担任から後に聞いたのだが、小林は最初は「やってない」と言い張っていたのだが、最後には認めたというのだ。私の事か気に入らない、それだけの理由でいたずら電話をしたというのだ。しかも自分の名前を名乗らず、私と同じクラスの山田の名前を出したというのだ。

山田の名前を出した理由は、自分の名前を出したくなかったから。卑怯者である。その日のうちに小林からの謝罪があったが、私は突っぱねた。この小林という男がどんな奴か知っていたからだ。

他人の落とし物があっても「あ、それ僕の!」と言って自分のものじゃなくても持っていってしまったり、弱いものいじめをしたり、自分の罪を人のせいにしたり、常に自分のことしか考えない卑怯な男なのだ。ドラえもんジャイアンちびまる子ちゃんの藤木を足して二で割ったような最低野郎なのだ。それだからまた同じような事をするだろうと考え、私は奴の謝罪を突っぱねたのだ。これでいいのだ、ここで許そうもんなら、また被害者が増えるだけだ。

 

ところでこの事件…

山田も被害者である。私は山田に謝罪をした。だが山田は「俺もあんたを疑ってごめんな。それと俊雄と順一にあの後ぶたれたんだろ?大丈夫だったか?本当に俺があいつらに言ったからそうなったんだもんな、ごめんな…」と泣きながら謝ってくれた。

最後はお互いに謝罪するという形で解決した。山田もいい迷惑だっただろう。