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Darkness world -ある捻くれ者のつぶやき-

高坂はる香です。私の幼少期からの出来事をエッセイ形式で書いていきます。(ちなみにこれは全て私の心理カウンセリングで使われたものです。虐待などの内容を含むため、閲覧にはご注意ください)

問題児朝子と士郎の話

大人になった今でも好きになれない女がいる。それは朝子(いじめパート2参照)という児童、私が小学校6年生の頃に北国から転校してきた女だ。

前記のとおりお世辞にも可愛いと言い難い女であった。彼女は則子と仲が良く、よく一緒にいた。私は別の仲良しグループにいたが、なぜか朝子はよく私に付きまとってきたのだ。私は彼女の付きまといについて鬱陶しいとしか思っていなかった。だが、彼女も彼女で則子のすることは何でもまねをするような性格を持ち合わせていた。正直観察する分には楽しかったものの、気が付いたら則子が私に嫌がらせをすることまでまねをして、私に嫌がらせをするようになってきたのだ。

そして小学校6年生になって2ヶ月ほどしたある日、当時私は幸子と隣のクラスの綾(以下あやぽん)と同じスイミングスクールに通っていたのだが、そこに運悪く朝子も通い始めたのだ。それだけじゃなく、そろばんも習い始めて学校以外でも朝子と一緒という最悪な環境になってしまったのだ。実は朝子、幸子や則子と一緒に習い事をしたいと親におねだりをしていたらしい。そしてスイミングの送迎バスも同じで正直苦痛でしかなかった。スイミングのメンバーが幸子とあやぽんならまだ許せる(幸子は嫌いだけど)、だがそこに朝子も入って更にはもうひとり朝子の近所に住んでいた和美も入会してきて同じバスになったというのだから本当にもう厄介であった。ついでに和美も本当にバカな女だった。一人っ子で両親や祖父母には蝶よ花よと育てられたおかげでとんでもないわがままに育ってしまった「典型的な一人っ子」だった。

そしてここで彼女も朝子とタッグを組むとそれは本当に面倒で、私は何度も嫌な思いをした。スイミングの時だけでも私は何度も嫌がらせをされて、スイミングスクールの掲示板には朝子らが私の名前と「ブタ(オス)」と相合傘と共に名前をデカデカと書いていたりして、すごく嫌な思いをたくさんしていた。それだけじゃなく、レッスン終了後にアイスを買ってバスに乗ろうものなら必ずといっていいほど朝子と和美が私にアイスを寄越せ、一口ちょうだいと言ってくるのだ。私が断るとそれはそれで「一口だけでいいから~」と悪びれる様子も、申し訳ないという様子も全く無いのだ。そこで私はアイスを奪われたくない、これは自分の小遣いで買ったものだし・・・と思い「汚い!だからやめて」と言ったら今度は2人して嘘泣きをする。本当にタチが悪いとしか言いようが無い。そもそも人様の食べているアイスを食べたいなんて、はっきり言って気持ちが悪いしその行為自体が卑しく本当に意地汚い。何だか私の食べているアイスを見てベロベロと舌を舐めまわしているようにも思えてきたのを覚えている。それだけ私は彼女らの行動に嫌悪感を持ったのだ。それ以前に汚いというのは本音であった。

果たして奴らの親は彼女らにどんなしつけをしてきたのだろう。人様のものを欲しがるなど、小学校6年生にもなればそれが良いことなのか悪いことなのか・・・ちゃんと分かるだろう、それがどれだけ卑しいことかも。それだけではなく、朝子の卑しい性格は本当に目を余るものだった。則子と一緒にいれば「おごっておごって」の連呼、私が飴を持っていれば「ちょうだい!」、新しい文具を持っていれば「寄越せ、使わせろ」。卑しい以外にどんな表現が出来るのだろう・・・。大人になった今でも思いつかない。 

 

そんなある日曜日の午後に、我が家に電話が来た。電話に出てみると、朝子だった。私は「何か用?」と奴に問いかけた。すると

「これから遊ぼう!うちに来てよ!」

と言う。私はちょうどその時従姉妹と叔母さんが我が家に来ていて一緒に遊んでおり、その日は従姉妹たちが我が家で夕飯を食べてから家に帰ることもあり、その日は朝子らと遊ぶことなど出来ない。だから私は朝子からの誘いを断った。そして一旦電話を切った。

そしてその数分後にまた家の電話が鳴るので、出てみた。今度は朝子ではなく同じクラスの士郎という男子だった。私はその男子のことも嫌いだったので、彼の誘いを断った。

「たいして仲が良いわけでもないのに、なぜうちに電話をしてくるのだ?」と思いながら従姉妹と遊び始めていた。そしてトランプをテーブルに並べ始めたところで今度はまた朝子から電話がかかってきた。はっきり言って何度も来る電話に嫌気がさしていたのだ。

「何か用?さっきも電話してきたよね?」

と言って電話を取った。すると今度は電話口には私の大嫌いな同じクラスの佐江子という女子がいて

「あのね、はる香ちゃん。サエねぇ・・・、ひとりでさみしいの。だから一緒に遊んで」と言うのだ。だいたいの察しは付いていた。電話の向こうには朝子と佐江子と士郎が居たのだ。わたしは彼らとは仲が良いわけではないので、ここでしつこく電話が来たからといって一緒に遊ばなければいけないのか、その意味すら分からない。だからここでも断ったのだ。すると今度は私が電話を切って数秒後にまた電話が来て、ここでは朝子が私にかけてきた。

「さっきから遊ぼうって言ってるじゃない!今すぐ来てよ!来なさいよ!」

さすがにこの朝子からの電話に私は唖然とした。なぜ断っているのに勝手にしつこく人を誘っておいてそれで逆切れするのか・・・。

そこで私の困惑する様子を見かねた母が電話に出た。

「朝子ちゃんでしょ?どうしてこういう事をするのかしら?本人は何度も遊べないって言ってるよね?それなのにしつこく遊ぼうってどういう事?とにかくきょうはる香は朝子ちゃんと遊べません!」

と言って母は電話を切った。ここで母は私も察していた通りだと思ったのだ。電話の向こうには朝子とそれと同じクラスの佐江子と士郎と遊んでいたが、退屈したから私を誘い出していじめようという魂胆だったと。はっきり言ってそんなこと迷惑でしかないし、そういう事を思いつく輩だったのかと幻滅した。 

翌日、学校へ行くと朝子と佐江子とそれと士郎が教室にいた。私は無視することにしていたので、奴らとは目も合わせなかった。だが、そこに佐江子がやってきて

「昨日あんたも来ればよかったじゃない!楽しかったのになー」

と私に言った。無視をする私、佐江子は「何で無視するのよー!」とそればかり。そこに今度は朝子も来て

「だって楽しいから誘っただけなのに、友達でしょ?それにあんたの好きなマンガもあったのになー」

と奴らは必死に私に擦り寄ってくる。だが私はもう奴らが何をしようとしているのかを見抜いていたので終始無視に徹した。そして無視に耐えられなくなったのか、次は暴言を吐き始めて自ら私が思っていたとおりのことをしようとしていたと白状して自爆していた。この結果に対して本当に哀れだとしか言えない。

反対に私はその電話事件が起きた日は、その後ずっと従姉妹とトランプや花札遊びをして楽しんでいた。そして夜になって従姉妹一家と一緒に夕飯のすき焼きに美味しくかぶりついていたのだ。

寧ろ朝子らと嫌々一緒にいるよりも、仲良しの従姉妹と遊んで美味しい夕飯を食べるほうがどれだけ幸せか・・・

 

朝子曰く我が家は貧乏らしい。だが朝子の家の方が貧乏じゃないのか?というぐらい酷いのだ。当時彼女は掘っ立て小屋のような借家に住んでおり、家の外には面倒もろくに見てもらえていないような薄汚い犬が一匹いた。一度朝子の家に行ったことがあるのだが、入った途端すごく埃臭くて部屋にはクーラーも無く、壊れかけた扇風機がカタカタと音をたてて回るのみだった。そして外で飼われている犬は人に向かって吼えるし飛び掛ろうとするし・・・外見さながら躾もろくにされていない有様だった。とにかく朝子の家の中は埃だらけだった。それで普通の暮らし?と考えてしまったぐらい。普段の朝子も貧乏くさい格好をしていた。服も色も褪せて襟首が伸びたようなものを着ていたり、靴も毎日同じものしか履いていない。正直お下がりばっかりの私が見ても明らかに「私以下じゃないのか?」と思えてしまうほど酷い格好だったのだ。

それなのに、そんな朝子にいきなり「貧乏人」呼ばわりされた挙句、我が家はブタ小屋で貧乏だなどと家のことについても言われてしまったのだ。極めつけは我が家の苗字は隣の家と同じ苗字だったうえに、その隣の家は普通の二階建ての家だった。それで佐江子と一緒になってその家と比較して「隣は金持ちなのに、あんたの家は一階建てで貧乏だもんね~」などと根も葉もない話をクラスメイトらに言い触らしていたのだ。それを知って私は怒りを通り越して呆れたものだった。 

そしてある日、私は朝子に「うちのこと、よく貧乏なんて言えたもんだね?どこで貧乏だって分かるの?」と訊ねてみた。すると彼女は「だって家だって小屋みたいでさぁ。それにあんたも貧乏くさい」と。・・・結局こじつけだった。

そこで私も彼女に「朝子の家の方が酷いと思うけど?何あれ?家の中埃臭いし・・・」と言ったら朝子はすかさず怒り出して「うちのパパ、工場長だもん!本当の家は青森にあるんだもん!」と言い出したのだ。正直言ってどの規模の会社の工場の工場長なのか?と。それも誰もが名前を知る会社なのか、それとも町工場なのか?奴はそこまでは言わなかった。だが、「パパは工場長」ということだけが自身の威張れるステータスとでも思っていたのだろう。それと青森に本当の家があると言えば「きゃー!朝子ちゃんちってお金持ち~」と言ってくれるとでも思ったのだろうか。いくら子供とはいえ見苦しいものだ。そもそも公立の小学校に通う一小市民である私たちが「家が大きい」とか「親が工場長」とか「どんな車に乗っている」とかそういうものだけで子供たちを格付けして金持ちとか貧乏とかと決め付けている時点でお里が知れている。だが私自身、貧乏だと決め付けられて悪く言われて嫌がらせをされることは許しがたいものであった。

そんなある日、今度は則子らによって「私ちゃんは金持ち!親は社長!」などと勝手に決め付けられてそういう話にされてしまった。いくら金持ちだと後から言われても私は嬉しくも何ともない。そして、周りの勝手な決めつけでいきなり「お金持ち」になった私は朝子や則子からの「おごって」攻撃に遭うこととなった。 ある日私がそろばん塾近くのコンビニで立ち読みをしているところを朝子や則子たちに見つかってしまったのだ。すかさず彼女らから「ねぇ、おごってよ。お金持っているんでしょ?」と言われ、無いと言えば「じゃあ親に持ってきてもらえばいい。今から呼び出せよ!」などと悪質極まりないものだった。その則子たちはカツアゲをする不良高校生か?と思えてしまうぐらい酷いものだ。それも一度や二度ではない。

そこで私は考えた、現金は学校の購売部で学用品の買い物がある時以外は決して持ち歩かないようにしたのだ。そして手元にはテレホンカードを持つのみにした。それでもテレホンカードしか持ち歩かないということを知った彼女らは電話をするたびに私のところに来てテレホンカードを借りようと必死だった。だが私は断り続けた。だが強奪されることもしばしば、時には勝手に抜き取られていたこともあった。この時は朝子のランドセルから私のテレカが見つかったのだ。そして本人に問いつめても「私盗ってない。これは私ちゃんがくれたものだ!」と言うのだ。もうここまで大きくなれば奴らのしたことは犯罪である。いくら12歳の子供がやったこととはいえ、これは世間一般では「窃盗罪」という立派な犯罪である。この件については無論親を通して学校にも報告した。そこで朝子らは謝罪はするものの、また同じことを繰り返すのだった。

今度は則子ではなく則子やマミの腰巾着だったはずの朝子はついに他の私の私物にまで手を出した。彼女は宮沢りえのファンであった。私も宮沢りえが好きでドラマの再放送とかもよく観ていたし、憧れでもあった。当時名刺大ぐらいのブロマイドをランドセルのポケット(いちばん小さいポケットの外側にある透明な部分)に入れておくのが私たちの間で流行っていたこともあって、私もランドセルのポケットに宮沢りえのブロマイドを入れていた。

だがある朝、その日は学校の球技大会の朝練があったこともあって早朝に学校に来ていた。そして突然雨が降ってきてしまって軒下でそこにいたみんなと雨宿りをしていた。そこでそこに居合わせた学級委員長の男子が

「これじゃ練習が出来ないからみんなで教室に入ろう!」

と言い、みんなで教室に移動することになった。そして各々のランドセルを置いていた場所に急いで移動して手に持っていたタオルやハンカチをしまって教室に戻ろうとして、私も手に持っていたタオルをしまうためにランドセルを開けたのだが・・・、そこで気づいてしまった。ランドセルのポケットの中に入れておいたはずのブロマイドが無いことに!そしてその隣で朝子が嬉しそうに「あった!あたしの宮沢りえのブロマイド!これ欲しかったんだー!」といきなり声をあげた。こっちではそのブロマイドが無くなっているのに朝子の手元にあってその発言・・・本当に白々しい。子供の浅知恵レベルだ。

そこで私は朝子を疑ったので、すぐさま「ちょっとそれ見せて!」と朝子に詰め寄った。朝子のランドセルに入っていたのは、紛れもなく私のランドセルに入っていた物だった。そこで私は「それ私の!まったく同じものなんだけど・・・もしかして盗ったの?さっき「これ欲しかったんだー!」って言ってたよね?自分のだったら「これ欲しかったんだよねー」なんて言わないでしょう。それにさっきまでこれは私のランドセルに入っていたもので間違いないんだけど。返してもらえる?」と朝子に言った。だが彼女はブロマイドを持った手を上に上げて・・・「これは私の!ずっとここに入ってたもん!」と言い放つ。

けれど私はさっき朝子が私の隣で「あった!あたしの宮沢りえのブロマイド!これ欲しかったんだー!」と言ったことは聞いている。他にも聞いた人は多々いる。だから彼女が明らかに嘘をついていることは明白である。だが彼女が盗ったところは見ていない・・・。が、その少し前に確か同じクラスの士郎がランドセル置き場にいたところを私は見ている。ちなみに士郎は過去に何度かクラスメイトの私物を盗んでおり、それだけでは済まず下級生の私物を盗むなどをしていたこともあった。下級生から私物を盗む場合は本当に強奪とも言える手段で盗るので本当にタチが悪いのだ。

小学生の目から見ても士郎がその場で私のランドセルからブロマイドを抜き取ったことは充分に考えられた。周りにいたクラスメイトも

「さっき士郎がランドセル置き場にいたのを見たけど、あの時何をしてたの?確か士郎って朝子と仲が良かったよね?」

という話が聞こえてきた。そこで私はその場から逃げようとしていた士郎を捕まえて問い詰めた。結果はクロだった。正直やはり・・・という気持ちだった。

その後全員で教室に戻り、担任の先生が教室に入ってきて朝の会を始めた。そこで委員長が「これから士郎君と大沢さん(朝子の苗字)の学級裁判を行いたいと思います」と手を挙げた。先生は「一体なに?」というような目だったが、委員長と副委員長が黒板の前に出てくると、先生に許可を取り了解を貰ってすぐに裁判は始まった。

まず、委員長が

「今朝の球技大会の朝練が終わった後、高坂さんのランドセルの中からブロマイドが無くなりました。そしてその無くなったブロマイドが大沢さんのランドセルから見つかりました。大沢さん、これはどういう事ですか?」

と朝子に質問をする。そこで朝子は

「私知らないよ。盗ってないし、はる香ちゃんがそれを持っていたことも知らないし」

と言い出した。だが、委員長は続けて

「でも大沢さんは今朝みんなで教室に戻る際にランドセルを開けて『あった!あたしの宮沢りえのブロマイド!これ欲しかったんだー!』と大声で言っていましたよね?」

と質問をする。朝子はそれに対して

「だってあたしのランドセルに突然入ってたんだもん!」

とここでも自らが盗んだことを否定した。すると今度は他のクラスメイトの女子が

「けど、その前にランドセル置き場に士郎がいるのを見たよ。もしかしてまた士郎が盗んだとか?」

と言い出して、今度は士郎が委員長の標的になった。だが・・・

「俺は知らない、高坂のランドセルなんて開けてないし見てもいない!それに盗ってなんかいない!」

と言い出した。委員長も引き下がらない。

「じゃあ、あの時なぜみんなが練習をしているのにランドセル置き場にいたんですか?」と続ける。

「トイレに行っていただけだ!」

「けれどトイレとは逆方向ですよね?」

「だからトイレに・・・、けど、ランドセル置き場にも行ったような・・・」

「じゃあそこで何をしていたんですか?」

「間違って自分のじゃないランドセル、開けた」

「じゃあそこで自分のではないランドセルをどうしたのですか?」

「そのまま閉めた。だから盗ってない」

この繰り返し。結局水掛け論となってしまった。が、ここで別のクラスメイトが目撃談を話し始めたのだ。

「私、士郎くんが赤いランドセルをゴソゴソしているのを見たんですけど・・・」

この決定的な目撃証言が元になって士郎が私のブロマイドを盗んだことが発覚。ここでの目撃談で士郎がゴソゴソしていたランドセルに付いていたぬいぐるみのキーホルダーでそのランドセルが私の物だという決定的な一言も付いたのだ。ここで最初はシラを切っていた士郎も観念したのか、ブロマイドを盗んだことを認めたのだ。盗んだ動機は朝子に盗ってきてほしいと頼まれたからだという。そして委員長の質問は士郎だけじゃなく朝子にも向けられた。

「大沢さん、これは一体どういう事ですか?」

急な展開に朝子も焦りだして

「違う!私は士郎になんて頼んでないし、これは一昨日買ったものなの!だから私のだもん!私盗ってない!泥棒してないもん!」

「じゃあブロマイドはどこで買ったものですか?いくらしたものですか?」

「えぇと、それは・・・」

「自分で買ったのに答えられないんですか?」

委員長からの厳しい質問は続く。最終的に朝子の口から

「ごめんなさい、どうしても欲しくて・・・、でも自分じゃ買えなくて。それではる香ちゃんが持っているのがムカついたから士郎に頼んで盗んでもらいました」と。

結果的には士郎と朝子がブロマイドを盗んだ犯人であった。ここで担任の先生が

「まぁここで犯人も見つかって、やったこともちゃんと認めたんだから。はる香も許してやってほしい。だから、朝子も士郎もちゃんとはる香の前に言って謝って盗んだものをちゃんと返せ!」

とふたりの頭を小突いて私の前に立たせると、ここでも謝罪させた。そして私の手元にはブロマイドは無事に戻ってきた。

だが、私はどうしても彼女らを許すわけにはいかず

「許せません、許したくありません」

と彼女らの謝罪を受け入れなかった。ここで先生が驚いて

「なぁはる、こいつら謝ってるんじゃないか?お前も嫌な思いをしたのは分かるが・・・」

と言ったが、私は続けて

「だってここでこのふたりを許してしまったら、また同じことをして形だけで謝れば(悪事は)無かったことになるでしょう?今度はもっと悪いことをするかもしれないし。だから許したくありません!絶対に許しません」

と彼女らを許すつもりは無いと改めて先生に説明した。先生的にはここでお互いに「もうしないでね、もうしません」で済ませたかったのだろう、だが私はそんなことは望んでいないし簡単に盗癖など直るとは思っていなかった。盗癖のある知り合いは過去に見ているので、簡単に直るなどとは思わなかったのだ。

これまでに朝子は転校してきてから私の私物を何度か盗んでいるうえに、平気で人の悪口を言ったり無理矢理私にお店でおごらせようとしたりもしてきた。だからなおさらこの一件は許せなかったのだ。そして士郎についても。

実は士郎も5年生になって私たちのクラスに転校してきたのだ。この時からクラスで私物が無くなることが相次いでおり、クラス内だけじゃなく下級生も彼によって私物を無理矢理取られたり、家に押しかけてきて私物を盗まれていたのだ。実は士郎が転校してきてすぐにクラスみんなの私物が無くなったときに友人のエリもあっこちゃんも被害に遭った。特にあっこちゃんはその日学校に持ってきていたノートも下敷きも筆箱も全て盗まれたのだ。彼女曰く「おばあちゃんに買ってもらったやつなのに・・・」と。

そういう裏側もあるものを平気で盗むなんてとみんなで怒っていたことは今でも忘れない。

 

実は私もその後だが士郎からの被害を受けていた。小学校6年生になったある日、少ないお小遣いで買った当時流行のアニメキャラのシャーペンを彼に盗まれた。同じものを偶然という見方もあるかもしれないが、これは彼が盗んだことは明白だった。私のシャーペンが無くなって、その数時間後には彼がそれを当たり前のように使っており、その日の朝や1時間目にはそのシャーペンは持っていなかったことが目撃談から分かっている。それに、私のシャーペンは地元では入手できないものであり、遠方で買ったもので地元では見ないご当地デザインだったからだった。だから私以外にそれを入手できるはずがないと思っていたから、すぐさま彼を問い詰めた。だがここでも往生際が悪く

「これはクラスメイトの○○君と○○君とで地元の商店街に買い物に行ったときに気に入って買った!だからお前のを盗ってなんかいない!」

と言い出す始末。これについては他のクラスメイトの女子たちのものを盗んだときにも同じことを言っており、その後盗んだことが判明していることもあって私は彼の言い分を信用していなかった。本当に士郎の盗癖でみんなが迷惑をしていたこともあり、クラスで数名の女子が代表して士郎の自宅に押しかけたこともあった。そして士郎の母親に最近クラスで起きている盗難について話をして、その犯人が士郎ではないかということになっていると話したのだ。ここでも士郎はシラを切り続けたが、結局最後は盗んだことを認めた。ただ盗んだことを認めて謝罪するならまだいいが、奴の場合はもっとタチが悪い。盗んだことを認めているくせに

「じゃあ返せばいいんだろ?返してやるよ、最初からこんなもの欲しくなかった!」

と実際の態度と矛盾するような言い訳をし始めて私の腕にいきなりそのシャーペンを数回刺して、私はケガをしてしまった。この時の傷は私の左腕に今でもしっかりと残っている。

この一件については担任がいる目の前で起きてしまったこともあり、その日のうちに担任から我が家に謝罪の電話が来て、更には士郎の母親と姉と士郎本人が菓子折り持参で我が家に謝罪に来たのだ。そして母と私で応対したのだが、母は

「士郎くん家と我が家は家が近所だから大ごとにはしない、だがこれ以上うちの子に危害を与えるようなことがあれば親戚に警察官がいるのでそれなりの対処をしてもらう」

というだけであっさり謝罪を受け入れてしまい、ここで私に

「これからも仲良くしてね!」

と単なる子供の喧嘩として解決されてしまった。

 

それから暫くして、その年の夏休みが始まって学校では強制参加の「スクールキャンプ」が行われた。正直参加するのが嫌だったが、母から無理矢理参加させられた。母も父兄の手伝いでキャンプに参加していた。この場でも偶然班が一緒になった朝子と和美から散々嫌がらせをされた。そして翌日になってキャンプが終わって帰宅した。すると母が私に「

昨日の夕飯の時に、あるお友達から『はる香ちゃん家って本当にお金持ちなんですか?』って聞かれたんだけど、何かそういう事言ったの?」

と言われたのだ。そこで私は自分ではうちは金持ちだなんて話もしていないし、どうしてそうなったのかは正直分からない。ただ、朝子や則子が勝手にそう決め付けて私におごれおごれと言ってきているということを話したのだ。加えてだからキャンプにも参加したくなかったとも。ここで母は無理に参加させたことを詫びた。続けて

「あんたもそういう風に思われる態度を示さない、それと学校には余計なものを持っていかない。妬みもあったと思うんだよね」

と言った。まぁ妬みもあった、それはいくつか思い当たる節はある。私は自慢するわけではないが、ピアノも弾けて絵もそれなりに描けた。そして家庭科でも実習で作る小物類も周りからはよくほめられていた。そんなこんなで妬まれる要素は無いわけではなかったのだろう。

2学期が始まって私は徹底して朝子らを無視し続けた。学校でいつも一緒にいるのは相変わらずエリやあっこちゃん。そして隣のクラスにいたアスカとも。

そしてそこそこ平穏な日々を過ごしていたのだが、ここでも突然朝子が私のところに駆け寄ってきたのだ。

「うちの妹がいじめられてて・・・、どうすればいいの?朝から学校に行きたくないってずっと言ってて・・・」

と私に言ってきたのだ。私は一体何?という感じであったが、隣にいたお人よしな性格のエリが朝子から事情を聞く。そこで朝子は

「今うちのお父さんと妹が学校の昇降口にいるんだけど、ここでも妹が学校に行かないって言って泣いてるの・・・」

と言うのだ。私は乗り気じゃなく無視しようと思っていたのだが、ここでエリが

「とにかく、行ってみたほうがいいと思う!ねぇはる香ちゃん、昇降口に行ってみよう!」

と半ば無理矢理私の手を引いてエリと共に昇降口に向かった。朝子のことは大嫌い、結果的にエリに連れられて付いて行くような形になったのも何だか嫌だったが・・・。

昇降口に着いた私たち、そこには朝子の妹とお父さんが立っていた。朝子の言うとおり朝子の妹は泣いていた。そしてそこに今度は妹の担任が来て事情を聞いていた。朝子のお父さんがそこで先生に

「クラスメイトのある子がウチの娘に○○(人気アニメのキャラクター)のハンカチ持ってこいって言って、持ってこないと叩くだの何だのと言っているというんですが・・・」

と話す。そして朝子の妹は

「△△ちゃんがね、○○のハンカチ持ってこないと殺すとか叩くとか言うから。だからあたし学校行きたくないの」

と先生にゆっくりだが一生懸命に話している。私は朝子の方に目を向けると本当に悲しそうで泣きそうな顔をしていた。今まで見たこと無い朝子の悲しそうな、胸を痛めた表情・・・。

「あんなに私に酷いことをしている朝子でも、こんな顔するんだ・・・」

と思ってしまった。何だかその顔を見たら朝子が不憫に思えた。どんな家にいても大切な家族、たったひとりの妹、そういうところだろう。その後朝子の妹は担任の先生に連れられて教室に入っていった。私たちも朝子の妹と担任に付いて行き、朝子の妹の教室まで行ったのだ。そして無事に教室に入ったのを見届けて自分らの教室へ戻った。朝子はその日教室にいても授業も上の空のような雰囲気で、休み時間には妹の教室を見に行くなどもしていた。私たちにも

「妹、ちゃんと1日学校に居られるかなぁ」

と言っていたぐらいだ。

実は朝子には妹の他に歳の少し離れた兄がいたらしい。だが、その兄は彼女が私たちの小学校に転校してくる数年前に重い病気で亡くなっていたのだそう。そういう経験もあって彼女は妹をとても大事にしていたのだろう。そして5年生までいた学校も転校したくなかったとのこと。だが両親に連れられて無理矢理転校してきた先の学校で自分よりも何でも出来るような子である私に会って、それで嫉妬して気が弱いところや運動が苦手というところに付け込んでいじめを・・・という流れになったようだ。本人曰く前の学校では朝子はクラスの人気者だったようで、自分よりも目立つ存在が気に入らなかったとのこと。家では特に不自由することは無かったが、それでも私が自分よりも目立つというところは嫌だったと。

確かに家庭のことや転校に至った経緯などで朝子には同情する要素はある。だが私は同情しなかった。というのも彼女に同情したところで、それはうわべだけのものになっていたのは明白だったから。うわべだけの同情でお友達していられるほど私も優しくはなく、お人よしな性格でもないからだ。友達というのは本当に腹を割って何でも話せるものだとずっと思っていたからでもある。それに嫉妬していじめに繋げてしまうような人と仲良くするのは御免である。それにうわべだけの付き合いでは彼女にも失礼だから。

反対にエリやあっこちゃん、隣のクラスのアスカとは本当に腹を割って何度も話が出来る仲であった。エリとは幼稚園に入ったあたりから仲が良く、我が家とも家が近い。そしてあっこちゃんとは同じ幼稚園にいたこともあり、どちらとも旧知の仲である。それゆえに3人とも家が近いのでよく一緒に遊んだりもしていて、時には2対1のケンカになることもあったけれど、数日後には3人とも仲直りをしてまた何事も無かったかのように一緒に遊んでいた。それだけじゃなく家が近所ということもあってエリの両親やあっこちゃんの両親、我が家の両親も親同士良く知る仲でもあった。

エリと私は今でも仲が良い。エリは結婚して今は地元から遠く離れた場所で暮らしている。だがあっこちゃんは中学に入って暫くして両親が離婚してしまい、あっこちゃんと彼女の母親が学区外のアパートに引っ越してしまったのだ。そして高校も別々だったこともあり、疎遠になってしまった。ただ、エリとは今でも繋がりがあるようだ。実はエリは高校卒業後に美容師になり、エリの勤めていた美容院にあっこちゃんが客として来ていたそうだ。そこで繋がりは復活したのだそう。

叶うならまたエリとあっこちゃんと一緒に話がしたい。たとえば居酒屋で酒でも飲みながら・・・。